
モータ発停を司る電磁接触器は物理的劣化が起きる消耗品
モータなどの大きい電流が流れる負荷を開閉するために用いられるのが電磁開閉器と呼ばれる部品です。電磁開閉器は過負荷を検知するサーマルリレーと、二次側に電力を供給する開閉をする電磁接触器の2つで構成されます。
このうち、電磁接触器はバネの力と電磁石の力を用いてON/OFFを操作するもので、その部品特性から物理的な劣化が起きやすい部品です。その為、定期的なメンテナンスや交換が必要となります。
メンテナンスを怠ると、過負荷状態に陥らなくてもモータへの電気供給が止まるといるリスクにつながります。
運転時・停止時のそれぞれで以下の項目をチェックすることで電磁接触器の劣化状況を把握することができます。
【停止時】
□端子部の締め具合(増し締めが理想)
□異物の有無
□手動による可動部のチェック
□摩耗状況の目視確認
【運転時】
□異音、異臭の有無(特にうなり音)
□接続部の過熱有無(サーモテープにて)
日本電機工業会では電磁接触器の寿命は10年と定義されています。寿命を迎えた電磁接触器は大きなトラブルが起きる前に点検・更新をお勧めします。
モータ稼働ではなくてはならない部品である電磁接触器
トラブル時に大損害につなげないようにする為の大切な設備です
同時に制御の要となる備品である為劣化・トラブルは大きな影響に直結します
実際に起きてしまった電磁接触器トラブル
電磁接触器は物理的な劣化が起きるリスクがある部品です。そして、故障が起きた際はモータの稼働が止まり、生産ラインへの大きな影響に直結します。どのようなトラブルが起きるものなのか、実施にトラブル発生している電磁接触器の様子をご紹介します。
劣化しているがまだ使用できる電磁接触器
左側が新品の電磁接触器、右側が使用し続けている電磁接触器です。
(右は汚れで暗くなっているので明るさ調整した写真になります)
写真で見てみると、劣化が進んでいるように見えますが、これくらいならばまだ使用が可能な状況です。
最も恐れるべき「接点の摩耗による欠相」
大きい電流を開閉すると、接点が開閉するたびに接点間にアークが発生し、その熱で接点の表面が荒れ、摩耗していきます。
その摩耗限界は、メーカーにより、電磁接触器のフレームサイズや開閉負荷の大きさによって開閉の耐久回数の目安がありますので、それにより交換時期の選定が可能です。
また接点を点検できる電磁接触器の場合は、接点表面に多少の凸凹が生じている程度であれば問題ありませんが、バリのような極端な凸凹がある場合はヤスリでその凸凹のみ削りとった方が摩耗を抑えられます。
溶着
開閉時接点間にアークが生じます。それが過大に生じた場合、接点が熱を持ち過ぎ溶着してしまうことがあります。
これは過度なインチング操作や、電圧降下などによる電磁接触器のチャタリング、短絡などの異常電流の開閉などが原因となります。
溶着しても簡単に溶着が外れる軽度のものであれば、接点摩耗と同様に接点表面の点検とメンテナンスをすれば使用可能ですが、重度の場合、相当量の熱が発生したこととなり接点部以外へも損傷が生じている可能性が高く本体ごと交換とします。
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